2020_03_20(金) 00:26

3.11に思う② 満月の帰り道【徒然スパイスバル】

記事投稿: シオ・コージ

2020_03_20(金) 00:26

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記事投稿: シオ・コージ

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コロナウイルスの感染拡大により、3.11追悼式も中止になるなど深刻な影響が出ています。

イベントの自粛や学校の一斉休校といった事態に、あのときの不穏な空気が重なります。

当時を思い出し、今後さらに広がりそうな不安にも冷静に対処しなければと思います。

前回の記事①はこちら

★目次★

01. 精神的にもこたえる作業

仙台でボランティアとして過ごす日々、津波の被害を受けたお宅をうかがって、壊れたり水没して使えなくなった家財道具を運び出すのが僕たちのおもな仕事でした。

家々は、見た目はそれほど大きな破損はないが、水につかった1階部分は壁の色が変わったりしています。

中に入ると泥だらけの家具が横倒し。それらを住人の方の指示を受けながら運び出す。中には高価なものもありそうですが、全部まとめて廃棄処分です。

畳をはがして床下にもぐりこみ、たまったヘドロをかき出す作業をしているボランティアも。

肉体的にもきついが、家族の思い出が詰まっているであろう家財道具を捨てるのは精神的にも滅入るような仕事でした。

被害に遭われた住人の方々がわりと元気で、あまりめげているようではなかったのがせめてもの救いといえば救いでした。

きっと僕たちの前では明るく振る舞っているだけなんだろう……。そんな気がして、笑顔で感謝の言葉をかけてもらうのですが、こちらとしてはちょっと複雑な気分でした。

02. 震災を語ることの迷い

一日の作業を終え、宿舎となっている教会に戻ってからは、現地の様子やその日印象に残ったことを自分のブログにUPし続けました。

発生当初から震災について、ネット上にさまざまな意見を書き込んでいました。

でもそれはテレビや新聞、ネット等の情報をもとに語っていたにすぎません。

他人に与えられた情報をもとに発言している自分が、ひどく卑怯なやつのように思えて仕方ありませんでした。

偉そうに意見するのだったら、やはり現場へ足を運んで現実の姿をきちんと見ておかなければ……。ボランティアに参加したのは、そんな理由もどこかにありました。

動機としては不純かもしれません。でも、安全な場所でじっと高見の見物をしていられなかったのです、あのときは。

03. 深夜のフラッシュバック

被災地へ行くことは、原発事故で放射線量の高い場所へ行くということでもありました。

実際に仙台から福島の海沿いまで作業のため行ったりもしましたが、自分の見た限りではそれほど線量について神経質になっている様子はありませんでした。

福島への行き帰りには津波に襲われた海沿いの地域も通りました。

そこは漁港を中心にした小さな町のようでしたが、荒浜を越える惨状で、手のつけようがないまま放置されていました。

不思議なもので昼間、作業をしているときはけっこう不感症になっていて、建物の残骸を見てもあまり何も感じなかったのですが、深夜眠りに就こうとすると、あの現場の惨状やニュースの映像を思い出し

「自分はとんでもないものを見てしまった」

と眠れなくなることがありました。

04. 街の中心も暗く、ひっそり

ボランティアが寝泊まりしている教会は仙台の駅から徒歩15分ほどの場所。

1日の作業を終えた夕食後は基本的にヒマなので、3日目あたりからぼちぼち周辺を散策に出たりしていました。

仙台駅のまわりはごく普通に車が走り、会社帰りの人々が行きかい、昼間見た被災地から目と鼻の先の場所とは思えませんでした。

それでもほとんどの店が夜9時前にはクローズしてしまい、七夕で有名なアーケードもほとんどシャッターを下ろしています。

節電で薄暗く、閑散とした夜の通りをさんざん歩き疲れて戻ることがほとんどでした。

遊ぶために来てるわけじゃありませんが、やはり消費が活発にならなければ復興にもつながりません。

僕ら遠方から来た人間も、東北のためにお金を落としていかなければという気持ちはあるのですが……。

写真は仙台駅ビルの構内。夜の7時半でこんな感じでした。



05. 帰る場所があるということ

ボランティア最終日。最後のがれき撤去を終え、5日間寝泊まりした仙台の教会を午後10時ごろあとにしました。

来た時と同じように、一般道を車で夜どおし走り続けました。

長時間の運転にそなえ、自宅を出るときに車内で聴くためにたくさんのCDを用意してきていました。最近ほとんど聴いていなかった古いロックばかりです。

走る車の中を、昔よく聴いていた音楽が満たしていきます。

満月の晩でした。

被災した現場を見た衝撃が胸にまだ残り、そこに5日間の作業から解放された安堵感が入り混じる。

久しぶりに聴くなつかしい曲に、さまざまな感情があふれてきました。

「帰れる場所があって、ほんとうによかったな」心の底からそんな思いがこみ上げてきました。

僕のボランティアはひとまず終わりましたが、被災した人たちの生活はこれからも続くのです。

その苦しみから、自分はもしかしたら逃げているのかもしれない。安全であたたかな「わが家」に逃げ込もうとしているのかもしれない。

月明かりの下、うしろめたい気持ちにかられながらも家路を急ぎました。

今回のコロナ拡大でさまざまな動きが制限されているいま、何かできることはないか。あのときの体験を思い出しながら考えています。

オハナスタイル公式ライター : シオ・コージ

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