2020_03_10(火) 10:05

賛否両論!? 第4の治療法「免疫療法」【がん患者と娘、家族の歩み】

記事投稿: ラッキークローバー

2020_03_10(火) 10:05

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記事投稿: ラッキークローバー

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2019年11月、父がすい臓がんのため、70歳で亡くなりました。

告知を受けてから1年と少しの闘病生活でしたが、父はもちろん、そばで支える家族にとっても苦しく、また様々な思いを経験した1年でした。

その中で、たくさんの治療法やその副作用、また費用や入院期間など、これまでドラマの中でしか知らなかったことや、勘違いしていたことが多くあったことに気が付きました。

それらを、テーマに沿って、実体験を基に、分かりやすく皆さんにお伝え出来ればいいなあと思い、書くことを決めました。

ただ、これはあくまでも父の場合です。

がんの種類や進行度合い、年齢など、個人差によるものも大きいですし、医療機関によっては取り扱っていないものもありますことをご理解ください。

★目次★

免疫療法薬「オプジーボ」

以前、抗がん剤治療について書いた記事内で、がん治療の代表的なものとして「三大療法」があると書きました。

そのときに、第4番目の治療法として「免疫療法」という治療法があると書きましたが、どれくらいの方が知っているでしょうか?

あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、なんとなく「免疫」という言葉から、体に負担がかからず、自分の力で治すようなイメージが浮かんでくるかなと思います。

また、「オプジーボ」という言葉なら聞いたことがある、という方がいるかもしれません。

2018年、本庶佑さんが、ノーベル医学・生理学賞を受賞したことをきっかけに、一躍脚光を浴びた免疫療法薬「オプジーボ」。

テレビニュースや、インターネット上でも、当時大きな話題となりました。

今回は、新しいがん治療として期待されている「免疫療法」について、私の考えや父の出した結論も踏まえて書いてみたいと思います。

そもそも免疫療法とは?

「免疫療法」とは、細菌やウイルスなどの外敵を排除する、体が本来持っている免疫力を回復させることによって治療する方法です。

・・・なのですが、まず最初に、「免疫療法」という言葉の持つ2つの意味を、理解しておく必要があります。

現状、「免疫療法」はさまざまな治療法を含んだ言葉であり、効果が証明されているかいないかに関わらず、広く「免疫療法」と呼ばれています。

まだまだ発展途上の治療法で、効果が科学的に証明されていないものも多数あり、保険のきかない「自由診療」として行っている医療施設もあります。

一口に「免疫療法」といっても、オプジーボのように効果が証明され、保険診療になっているものと、効果が証明されていないものがあるので、慎重な確認が必要です。

そもそもがん細胞は、健康な人の体内でも、毎日約5000~6000個も発生していると言われています。

それでも全ての人ががんにならないのは、免疫力でがん細胞をやっつけているからです。

この免疫の力が弱まると、がん細胞が増えるのを抑えられず、がんになります。

「免疫療法」は、自分自身の持つ免疫力を使った治療なので、がんと闘う働きが長時間持続可能であり、副作用も少なく、出たとしても軽いのが特徴です。

他の治療ほどの即効性は無い場合もありますが、確実に、今後ますます発展していく分野であると言えるでしょう。

父に合う治療法

では、父の場合は、どのように「免疫療法」と関わっていったのか、病状と共に振り返ってみます。

抗がん剤治療、放射線治療を耐えた父でしたが、残念ながら、どちらも芳しい効果はありませんでした。

激しい絶望感の中で、父は、再び抗がん剤治療を受けることになりました。

今回の抗がん剤は、前回の抗がん剤と比べると投与時間も短く、そこまできついものではありませんでした。

なぜなら、1番効果が期待できる新しい抗がん剤を、体力のあるうちにと先に受けたから。

ですので、これから受ける抗がん剤が、父の身体に劇的に効いてくれるとは到底思えませんでした。

でも、

「もしかしたら、父の身体にはこっちの方が合うかもしれない。」

という希望は捨てずに持っていました。

がんサロンで出会った、すい臓がんを克服した方がまさしくそうだったから・・・。

<がんサロンについては前回の記事参照>

きっと父にも、ぴったりの薬がどこかにあるはず!

そう信じて、再び抗がん剤治療を受けることに決めたのです。

しかし、この頃私と妹は、このまま抗がん剤治療を続けていくことが、父にとって本当にいいことなのか、悩んでいました。

あまり効果が期待できない抗がん剤治療を続けて、副作用で体力を奪われるくらいなら、いっそ抗がん剤治療をやめて、「免疫療法」に切り替えてはどうかと考えていたのです。

父の病気が発覚したとき、妹がたくさん情報収集してくれたおかげで、そのような治療法がどんどん広まってきつつあることを私たちは知っていました。

県内で「免疫療法」を受けられる病院も見つけ、妹が問い合わせて詳細を聞いてくれて、いつでも動けるように、水面下で準備を進めていきました。

父には、決して無理強いするような口調ではなく、

「こんな治療法があるよ。」

「身体の負担も少ないし、県内で受けられる病院も見つけたよ。」

と、情報を少しずつ共有し、あくまでも決めるのは父であることを伝えた上で、さまざまな選択肢を提案しました。

「免疫療法」にも、さまざまな種類がありますが、私たちが考えていたのは、「樹状細胞ワクチン療法」でした。

これは、樹状細胞がリンパ球にがんの目印を教える力を利用して、がんだけを攻撃する治療法です。

採血して生成した自分の樹状細胞に、がん組織(抗原)を認識させ、ワクチンとして体内に戻すのです。

そうすることで、樹状細胞がリンパ球にがんの特徴を教え、リンパ球にがん細胞を攻撃させるという流れです。

できるだけ副作用に苦しまず、少しでも長く普段の生活を続けられるように・・・。

そう考えたとき、やっぱりこのまま抗がん剤治療を続けていくのは、父の体力を考えても難しいのではないか、この免疫療法なら、父が苦しい思いをせずにがんを克服することができるのではないかと思ったのです。

父の出した答え

父は、昔からとっても義理堅い人でした。

人と争うのも嫌いだし、変に頑固なところもあって、こうと決めたらなかなか意見を曲げないタイプでした。

私と妹が、いろいろな治療法を勧めても、今お世話になっている大学病院の先生に対して、そんなことをしたら失礼だと言って、なかなか耳を傾けてはくれませんでした。

「免疫療法」は、抗がん剤治療と併用することもできるので、もちろんそのことも伝えたのですが、違う病院にお世話になること自体、父にとってはありえないことだったようです。

私が付き添ったとき、勝手に担当の先生に「免疫療法」について質問したときには、あとでめちゃくちゃ叱られました・・・!

確信犯でしたが(苦笑)

母から聞いた話では、父の心の中には、「そんなことをしたら、先生に見放されるのではないか?」という大きな不安があったようです。

もちろん、そう考えてしまう父の気持ちも分かります。

分かるのですが・・・、私としては、

「そんなことを気にして、助かるはずだった命を落とすことになってしまったらどうするの!?」

と、段々強い口調になってしまい、父と喧嘩になってしまうことが増えていきました。

そうして、父が出した結論は、

「このまま大学病院で、抗がん剤治療を受ける。たとえ1%の確率でも良くなる可能性があるのなら、このままここで治療を続ける。」

というものでした。

そもそも、先にも説明したように、「免疫療法」そのものがまだまだ発展途上で、効果が科学的に証明されていないものも多数あるため、父は信用していませんでした。

「現代の日本において、保険の利かない自由診療であるということは、効果が証明されていないと判断せざるを得ない。」

と・・・。

確かに、藁をもすがる気持ちにつけこんで、高額な治療費を取って儲けようとする悪質な病院も、残念ながらあるようです。

私たちが受けようとしている治療が、病院が、本当に父にとって正解なのかどうかも、正直全く分かりません。

何よりも、治療を受ける父本人が、それを希望していない以上、私たちにはどうすることもできませんでした。

母に、父を説得してほしいと頼んだこともありましたが、母は一貫して

「お父さんのいいようにしたらいいと思う。」

と言って、最期まで父の意向に沿うことを貫きました。



知らなかった「混合診療」

これは、後から知ったのですが、抗がん剤治療と免疫療法、併用することは可能なのですが、ひとつ大きな問題がありました。

抗がん剤治療は保険診療ですが、私たちが受けようと考えていた免疫療法は、保険外診療。

保険診療と保険外診療を併用する場合、いわゆる「混合診療」と呼ばれるものは、原則として禁止されており、全体において「自由診療」、つまりどちらの治療も全額負担で支払わなければならなくなるのです。

1クールの免疫療法だけでも、250万~300万円ほどの費用がかかりますが、それに加えて、大学病院で受ける治療費すべてが全額負担になるというのは、現実的ではありませんでした。

ざっと計算しても、年間、1000万円を越えるお金が必要になってきます。

それが、どれだけ続くのかも分からなければ、効果があるかどうかも分からないのです。

そんな不透明な状態のものに、それだけの費用をかけるというのは、大きな賭けと言わざるを得ません。

父は、自分の治療にたくさんのお金をかけることを、望んではいませんでした。

残された母が生きていくために、

「少しでもお金を残しておきたい。」

と、常々言っていました。

しかし母は、父が治るためなら、

「何千万だろうと用意する。」

と、男前なことを言っていましたし、私と妹も、

「お母さんのことなら心配ないよ。私たちがいるんだから、どうにでもなる!」

と言って、なんとか父に治療に前向きになってもらいたいと思っていました。

たくさん悩んだ末、結果的に、父は免疫療法を受けませんでしたが、今でも、

「あのとき無理矢理にでも受けていれば、父は助かったのかもしれない。」

と、ふいに考えてしまうときがあります。

でも、受けたとしても助からなかったかもしれないし、それはもう誰にも分かりません。

今はただ、父の気持ちに寄り添えたことを前向きに捉えることで、納得している私たちです。

最後になってしまった、父との花火。

この頃は、短時間ならまだ外に出ることができていました。

孫たちが揃って、大賑わいだった夏の夜の思い出です。

【がん患者と娘、家族の歩みシリーズ】

1. 健診で

2. 抗がん剤治療     

3. 放射線治療   

4. 医療用麻薬の使用について

5. がん患者のための相談機関について

オハナスタイル公式ライター : ラッキークローバー

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