2020_02_25(火) 10:10

誤解しないで!医療用麻薬の正しい知識【がん患者と娘、家族の歩み】

記事投稿: ラッキークローバー

2020_02_25(火) 10:10

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記事投稿: ラッキークローバー

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2019年11月、父がすい臓がんのため、70歳で亡くなりました。

告知を受けてから1年と少しの闘病生活でしたが、父はもちろん、そばで支える家族にとっても苦しく、また様々な思いを経験した1年でした。

その中で、たくさんの治療法やその副作用、また費用や入院期間など、これまでドラマの中でしか知らなかったことや、勘違いしていたことが多くあったことに気が付きました。

それらを、テーマに沿って、実体験を基に、分かりやすく皆さんにお伝え出来ればいいなあと思い、書くことを決めました。

ただ、これはあくまでも父の場合です。

がんの種類や進行度合い、年齢など、個人差によるものも大きいですし、医療機関によっては取り扱っていないものもありますことをご理解ください。

★目次★

「麻薬」に対する怖いイメージ

皆さんは、「医療用麻薬」という言葉を聞いたことがありますか?

「抗がん剤」や「放射線」と比べると、あまり聞き慣れない言葉かもしれません。

前回の放射線治療の記事で、「医療用麻薬」という言葉が出てきましたので、今回、詳しく掘り下げて考えてみたいと思います。

「麻薬」と言えば、去年、某有名女優が麻薬取締法違反で逮捕されましたね。

「薬物」という大きな括りで言えば、つい最近も、某有名歌手が覚せい剤取締法違反で逮捕されたばかり。

テレビやネットニュースでも連日報道されていたので、ある意味、馴染みのある言葉かもしれません。

ほとんどの人が「麻薬」に怖いイメージを持っていると思うのですが、私もその1人でした。

「麻薬」のイメージとしては、「依存性があり、やめたくてもやめられない」、「身体を蝕んでいく怖いもの」というマイナスのものばかり。

ですので、

「1度手を出したらなかなかやめられない。」

「絶対に手を出してはいけない。」

と思って、生きてきました。

そんな私でしたが、父の治療として「医療用麻薬」を使い、それに助けられて、今では感謝すらしているのですから、無知というのは怖いなあと思います。

もちろん、最初から抵抗がなかったわけではありません。

そもそも、「医療用麻薬」とはどういうものなのか、違法な麻薬とは何が違うのか、説明したいと思います。

医療用麻薬と違法麻薬との違い

「医療用麻薬」とは、医薬品の基準に従って国が審査をし、有効性と安全性が確認され、医療品として製造・販売が承認されたものを言います。

私たちがイメージとして持っている違法な麻薬は、薬物の中でも「麻薬及び向精神薬取締法」で指定されたものであり、この法律で取り締まりの対象となっているものを指します。

ですので、「医療用麻薬」と、私たちが普段ニュースなどで耳にする違法な麻薬は、全くの別物なのです。

麻薬の特徴としては、興奮作用や幻覚作用、中枢の抑制作用があり、「繰り返し使いたい」といった気持ちになる依存性薬物でもあります。

ですが、「医療用麻薬」は、痛みがある状態で使用すると、中毒にならないことが分かっています。

また、使う量に上限がないので、痛みが強くなればそれに合わせて薬を増やすことができるのです。

痛みのある人に、医師が適切に使用する場合は、薬の量がたとえ増えたとしても、安全で効果的というのですから、本当にありがたいとしか言いようがありません!

よく使われるものとして、「モルヒネ」、「フェンタニル」、「オキシコドン」がありますが、段階を経て、父は全て処方されました。

なんだか「モルヒネ」と聞くだけで、ちょっと怖い感じがしますが・・・、鎮痛薬として非常に有効で、がんの強い痛みの治療には欠かせないものとなっています。

現在、世界の先進国の医療現場において、がんの痛みを取り除くための治療は、当然のように行われています。

それは、がんの治療を受けながらでも、痛みがなく、今まで通りの生活を続けたいという患者さんの思いを実現させるためです。

しかし、日本では、がんの痛みを取り除くための治療は、がんそのものの治療に比べて、それほど注目されてきませんでした。

先進諸国において、日本での「医療用麻薬」の消費量は非常に少なく、痛みは我慢するものだという認識が蔓延しているのではないかと思います。

また、先に書いたように、違法麻薬の中毒者のイメージのせいで、正しい情報が行き渡っていないことが大きな原因のひとつであると言えるでしょう。



医療用麻薬の副作用

気になる副作用に関しては、以下のものが挙げられます。

・便秘

・吐き気

・眠気

・混乱・幻覚

最後の、混乱・幻覚症状が見られた場合は、薬が合っていないということなので、すぐに使用を中止しなければなりませんが、それ以外の症状に関しては、それぞれ対処法があるので、むやみに怖がることはありません。

便秘なら下剤を。

吐き気には吐き気止めを。

また、薬の量を減らしてみたり、種類を変えてみたり、担当医と相談しながら、きめ細かく対応することで、痛みと副作用のバランスをとっていくことが大切です。

抗がん剤治療や放射線治療のお話にも書きましたが、副作用は個人差が大きいです。

副作用のひとつである便秘は、8割の人に表れる代表的な症状と言われていますが、父はずっと下痢でした(苦笑)

「便秘の副作用が出てくれたら、ちょうどよくなるんじゃない?」

なんて冗談で話していましたが、結局ずっと水溶便のまま。

父が、医療用麻薬を使用するようになったのは、ちょうど抗がん剤治療と放射線治療を併用していた時期だったので、抗がん剤や放射線の副作用の方が強く出ていたのかもしれません。

どちらにせよ、医療用麻薬だからといって、特別何か恐ろしい副作用が出るということではないと、正しい知識を持っておくことが重要だと思います。

がんサロンに参加して

実は、私が「医療用麻薬」という言葉を聞いたのは、父の治療のときではありませんでした。

まだ、父が通院で抗がん剤治療を始めたばかりの頃。

たまたまエレベーターの貼紙を見て、私ひとりで参加した「がんサロン」。

週に1回、最上階のレストランの一部を使って、がん患者、及びその家族を対象とした集まりがあったのです。

この頃は、父の治療がようやく始まった頃で、まだまだ知識も情報も持っておらず、とにかく不安でした。

父に、何をどうしてあげたらいいのか分からなくて、何か少しでも有益な情報や、希望の持てる体験談を聞きたくて、言葉の通り、藁をもすがる思いで参加しました。

そこには、現在治療中のがん患者さん、かつてこの病院で治療を受けて今は元気になった方、私のように家族ががん患者だという方・・・、様々な立場の人たちが集まっていました。

病院内にある「がん相談支援センター」(※全国のがん診療連携拠点病院に設置されているがんの相談窓口)のスタッフさんや、看護師さんも同席していて、患者さんの質問に答えてくれたり、治療中のアドバイスをしてくれたり、とても和やかな雰囲気の集まりでした。

このとき、ある人が話してくれた内容が衝撃的で、私は思わず泣いてしまったんです。

その人は、ご主人がすい臓がんで、かつてこの病院で治療を受けていました。

父と同じく、手術は無理だと言われたので、抗がん剤治療を受けることになったのですが、

「どうせ死ぬのなら、好きなことをしたい。」

という思いから、大好きなアーティストのライヴを追い掛けて、日本中を回り始めたんだそうです!

もちろん、抗がん剤の副作用も出たし、がんの痛みも強くなってきて、「医療用麻薬」を使いながらの壮絶な旅だったようです。

どんな気持ちでその旅を続けていたのか、今、その話を思い出すだけでも、涙が出そうになります。

それだけでも十分衝撃的なのですが、なんと驚くべきことに、今ご主人はすっかり元気になって、仕事にも復帰したんだそうです!!

最初の抗がん剤は全く効果がなかったらしいのですが、種類を変えてみたところ、その薬の方がご主人には合ったようで、みるみる回復し、奇跡的な復活を遂げられました!

これまで、ネットなどで、すい臓がんが治ったという体験談を読んだことはありましたが、こんな身近に実際に治った方はいなかったので、本当に驚いたし、嬉しくて嬉しくてたまりませんでした!

ですが皮肉なことに、そのお話をしてくれた奥様の方が、今はがんと闘っている真っ最中で入院されていました。

私が父の話をしたところ、親身になってご主人の治療のことを話してくれた上、その場でご主人に電話をして、病院に呼んでくれて、直接お会いすることもできたのです!

このとき聞いた「医療用麻薬」の話は、私が持っていたイメージを大きく変えました。

「麻薬を使うようになったらもう終わり。」

最初は、そんなふうに考えていた奥様とご主人。

私も同じような感覚でしたが、実際にその薬のおかげで痛みを抑えることができ、日本中を回りながら治療を続け、完全復活を遂げられたのですから、これ以上の確証はありません。

残念ながら、父は帰らぬ人となってしまいましたが、あのとき勇気を出して、がんサロンに参加して良かったと今でも思っています。

がん患者と娘、家族の歩みシリーズ一覧

「がん患者と娘、家族の歩み」の15記事は下記のリンクから読むことができます。

1.健診にも落とし穴!?見逃さないで身体のサイン

2.抗がん剤治療ってどんなもの!?①

3.抗がん剤治療ってどんなもの!?②

4.抗がん剤治療ってどんなもの!?③

5.抗がん剤治療ってどんなもの!?④

6.抗がん剤治療ってどんなもの!?⑤

7.意外と知らない!?放射線治療①

8.意外と知らない!? 放射線治療②

9.意外と知らない!?放射線治療③

10.誤解しないで!医療用麻薬の正しい知識(本記事)

11.いろいろな機関を利用しよう!患者家族の闘い

12.賛否両論!? 第4の治療法「免疫療法」

13.転移!? 結石!? 苦しむ父の背から学んだこと

14.大きな決断!がん遺伝子パネル検査

15.終末期鎮静を経て…父との永遠の別れ

オハナスタイル公式ライター : ラッキークローバー

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