2020_02_12(水) 07:11

趣味があることは、幸せに繋がりますか? その3

記事投稿: NEKONOKO

2020_02_12(水) 07:11

175

記事投稿: NEKONOKO

175

趣味の合間に仕事をしていたような、多趣味な父。

その父が人生の最後に極めようとし、そしてついに極めたものはなんだと思いますか?

多趣味で、きっと豊かな人生だったろう父のお話です。

<前回:その②はこちら

★目次★

そば道を極めるには

趣味が仕事か仕事が趣味か、という生き方をした昭和の男である父が熱中した趣味の総数は、正確にはわかりません。

自分でも数え切れなかったのではないかと思います。

私が知っているだけでも、

ハンティング

自然薯やたけのこ掘り

シジミ採り

バッタ捕り

川釣り

海釣り

ランチュウ育成

盆栽作り

ヒョウタンを栽培するところからのひょうたん細工

わら細工

すし屋の卵焼き

チャーシューも汁もシナチクも作るラーメン作り

どぶろく作り

野鳥育成

コンクリート塑像作り

凧作り・・・

これらの合間に建設業の社長をしていました。

Aクラスだったので、排水機場を作ったり新しくできる駅前の土地の造成をしたりというような、そこそこ大きな仕事を県や市から発注されていました。

なのに社長は趣味三昧。

私と妹と母が真っ先に思い出す父の趣味は、これらの他に二つあります。

一つ目は、そば打ち。これは中年から高齢になると男性がハマりやすい趣味の一つです。

だいたいの趣味は、ある日突然始まってある日突然に終わるのですが、よりにもよって父が目指したのは、十割そばでした。

二八そばとか九割そばというように、ふつうはつなぎにするために小麦粉を入れる。それが全く入らないのが、十割そばだ。つまりつながらない。

小麦粉のグルテンの力がなければつながるはずがないのだ。

二八そばはすぐに上手に打てるようになってしまった父は、それに飽き足らず、十割を目指してしまいました。

母と娘たちは、最長で7センチほどのそばをよく食べた。美味しいと言わねばならなかった。

粉にもこだわっていたと思うので、確かにそばの香りはしたかもしれないのだが、味は全く記憶に残っていない。

ただ箸でつまめるぶつぶつに切れたそばを、来る日も来る日も食べたことだけよく覚えている。幸い妹はそばアレルギーではなかったようだ。



「スイカ道」を極めた先に

父は若いころ起こした交通事故の時の輸血がもとで、C型肝炎になりそこから肝臓がんにかかった。

医者には5年間の余命宣告を受けていた。

父も母も農家の出身で、農業だけはやりたくないと別な職業を選んだはずなのに、結局戻っていった先は土だった。

父は、菜っ葉類・インゲンマメ・さやいんげん・キュウリ・ナス・トマト・イモ類・大根・人参・ウコンに至るまで何でも作った。

朝起きると、玄関の前に大きな米袋に入った泥のついた野菜がよく置かれていた。かさこ地藏が来たかと思った。

そんな父もいよいよ弱ってきて、自分が作りたいものは「甘いスイカ」だと決めたようだった。父はスイカが好きだった。

美味しいスイカの路上販売をしている人のところに日参して、土下座までして作り方を教えてほしいと懇願したらしい。

あまりにしつこい父に辟易して、その人は門外不出の企業秘密を父にだけ教えてくれた。

父は毎日畑に出かけ、少しずつ大きくなるスイカたちの世話をした。

わらの上でスイカが大きくなるのと反比例するように、父は元気がなくなっていった。

ようやく完成したスイカを父は持ち上げることができなくなっていた。

私はそもそもスイカが好きではない。

食べてみろと言われて、しぶしぶ口にしたら、今まで食べたスイカの中で一番甘くて密度が高くて驚いた。

これだけおいしいものができてしまったら、父は死ぬしかないと思った。実際父はその年の晩秋に命を閉じた。

父のことを思う時、好きなことのためなら時間と予算を惜しまなかったなぁと思う。

振り回された母は大変だったろうけれど、それができた環境には感謝していたと思う。

今でも、珍しいキノコで作った炊き込みご飯や蕨やゼンマイの味、傷のない自然薯を得意げに見せる父の顔を思い出す。

いつもしかめっ面して、叱られた記憶しかないと思っていたのに、今日の父は、笑顔だ。

オハナスタイル公式ライター : NEKONOKO

タイアップ

関連記事

オハナかくれんぼ オハナかくれんぼ オハナかくれんぼ

新着記事

オハナかくれんぼ オハナかくれんぼ オハナかくれんぼ
オハナかくれんぼ オハナかくれんぼ オハナかくれんぼ

アクセスランキング

  • 週間
  • 月間
  • 年間

お得なプレゼントの案内や家族に関する記事を受け取ろう!


おすすめコンテンツ

次へ
前へ